二日続けて同じようなことを書いてしまった。
もうそろそろ自分の生活に戻らなくてはならない。退屈で憂鬱な日常へ。
さて、音楽の話が続いたので、今日はまた写真の話をさせていただきます。このブログを始めてからまだ時計の話を一度もしていないですけれど、もう少し写真の話におつきあいください。
Joel Meyerowitzという写真家についてです。
カタカナでなんて表記していいかわからないので、横文字で書きますが、この写真家をご存知の方、カタカナでなんて表記すれば良いか教えてください。
写真が好きな方、特に海の写真が好きな方はMeyerowitzと聞いたらピンと来るかもしれません。1978年に発表された『Cape light』と名付けられた写真群は、カラー写真の新しい時代を築きました。
『Cape Light』に収められた、空とそれを映し出す海、人工光と自然光、自然の風景と人物が織りなすスペクタクルはカラー写真だからこそ表現できる写真の新しい世界を提示したのです。
でも、今夜はその『Cape Light』ではありません。途中まで話しておいてすみません。
『Cape Light』を発表する前のMeyerowitzは、沢山の優れたストリートスナップを発表しておりました。それらのストリートスナップの魅力について書きたいと思います。
Meyerowitzのストリート写真の魅力は「町の織りなす複雑な群像劇」にあります。写されている街の風景の中で、同時に複数のドラマが繰り広げられつつ、一つの調和を保っている不思議な写真です。
別の記事で紹介したウィノグランドの写真も「登場人物が独立しながら、一つの調和をうみだす」と表現しましたが(語彙が貧しくてすみません)ウィノグランドの写真はそのカオス度合いが強いのに対し、Meyerowitzの写真はその劇度合いが高いです。ストリートフォトグラフの魅力の一つに、「カオスと調和」という要素があると思いますが、その「カオスと調和」が「劇(ドラマ)」として構築される構築度合いに限って言うとMeyerowitzの写真はピカイチです。
スティーグリッツ、カルティエ・ブレッソン、ロバート・フランク、クラインといったストリートフォトグラフの先輩達の作ったストリートフォトグラフの文法を守りながら、「写真群で構築するドラマ」を写すという手法から、「一枚の写真の中でのドラマ」を写すという手法へ、より一歩進んだ写真、がMeyerowitzの打ち出した一つのストリートスナップの方向性です。
Meyerowitzが打ち出したこの方向性は、その後、彼がディアドルフ(8×10の大型カメラ)で撮影した写真にも時々表れてきます。また、その後に登場するのフィリップ・デコルシア等の写真家へ多大な影響を及ぼしています。(今度暇があったらそれらの写真についても紹介します)
カラー写真の新しい世界を紹介した写真家として有名なMeyerowitzですが、スナップシューターとしてもすごい腕の持ち主なのです。ただ、残念なのは、彼がストリートスナップを撮っていた頃の写真がまとまったかたちで見れる写真集があまりないことです。近年、彼のカラー写真を集めた展覧会の図録として、ストリートスナップの写真が結構収録された本が出ましたが、既に入手困難です。見つけたら、私も即買いしたいです。
近年彼はディアドルフで自然と人工物によって構成される美しい田園風景等を撮っていて、確かにステキな写真ではありますが、私はストリートスナップを撮っていた頃の彼の写真が好きです。
また、彼はストリートフォトグラフに関する教科書みたいな本『Bystander』も書いており、この本もストリートフォトグラフの歴史や数々の素晴らしい写真作品を紹介しており、なかなか勉強になります。(私の愛読書です)時間があったら読んでみてください。
これです、これですこの図録!!
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早漏 (火曜日, 12 5月 2015 05:42)
「怖かったら、目ぇ閉じてろ」