憂歌団と憂歌団以外のChaki。或るチープで乱雑なギターについて。

先日は書かなかったけれど、Chakiといったら内田勘太郎さんですね。これはChakiというギターを語る上で仕方ないことなのだけど、内田勘太郎さんなしにして、今日のチャキはあり得ない。だから、少し内田勘太郎さんについても書きます。

憂歌団のレコーディングやライブで、内田勘太郎さんはChakiのギターを愛用していて、憂歌団のレコードを聴けば、かなりの確率でチャキの音を聞いて頂けるかと思います。

内田勘太郎さんはピッキングも強めなので、このギターの乱雑で暴れる音色を堪能できるのですが、チャキのギターすべてがああいう音がするわけではないと思います。

私も、そんなに沢山チャキを弾いたことないので詳しいことは解りませんが、前に新品で５０万円くらいの「良いチャキ」を試奏したことがありますが、正直言ってあんまり記憶に残らないギターでした。自分の持っているチャキみたいに鳴りは良くなかったし、あんまり暴れない、よくいえばまとまりのある音の、使いやすいピックギターに仕上がっていたと思います。きっと、オール単板かなんかだったので、それなりに弾いているうちに鳴ってくるのかもしれませんが、人生長くないので、鳴ってくるのを待つのはちょっと面倒だと思いました。それに、自分んの「安いチャキ」の暴れる鳴りが好きだったので、まとまりをあんまり期待していなかったせいかもしれません。

ジャズで四つ切りとかやるんだったら高いチャキの方が良いでしょう。わざわざチャキじゃなくても良いけど、今市場で手に入るピックギターの中では値段の割に完成度も高く、なかなか良いギターだと思います。それに、ヴィンテージのグレッチとかは高いし、メンテ大変だし。ギブソンは、太鼓判押せるけど、定番過ぎて嫌って方もいるでしょうから。でも私だったら、ジャズやるならギブソン買います。

じゃあ、チャキはどんなときなんの為に必要かというと、なかなか説明が難しい。一人でギターをつま弾くときに、面白いギターなので、その為に私はチャキを愛用しております。きっと内田勘太郎さんもチャキのそんなところが好きなのではないでしょうか。ギブソンのL−５０とかの古いのも良いけれど、チャキのようにジャリジャリした感じは弾いていて気持ちがいい。低音がボディーの中で少しこもり気味になりながら、低音弦の倍音や高音弦の音が絶妙の乱雑さで鳴るこの感じは、ベニヤ板のギターの中でもなかなかない完成度です。

そんな音を堪能できるのが、内田勘太郎さんのソロアルバム『Chaki sings』。興味があったら聴いてみてください。

内田勘太郎さん以外で、チャキを使っているミュージシャンがいるのかどうかよく知りませんが、きっとあんまりいないでしょう。けれども、私がチャキを愛用するのは内田勘太郎さんの影響ではなく、このギターの音色が好きだからです。チャキは鳴る個体はあんまりないと思いますが、鳴るやつは本当に良くなります。うちのも、きっと前のオーナーが良かったんだろうな。

チャキに唯一不満があるとすれば、ネックの細さです。チャキのネックは細（薄）過ぎます。きっと日本人の手の大きさに合わせて、ネックを薄く作っているのでしょうが、私は昔のグレッチみたいに太いかまぼこ型のネックが好きです。将来お金持ちになったら、ネックの太いChakiをオーダーしたいと思います。

なかなか市場に出てくる数は少ないですが、値段はそれほど高くないのでお勧めです。