思い出したくない記憶の想い出にひたっていた。

これは良いことなのか悪いことなのかは解らないが、歳をとっていくに従って過去の嫌なことを忘れていくのと同時に、過去の想い出をすべて美しい想い出にして自分の中で消化できるようになる。だから、思春期の失恋の想い出なんかも、そこそこ美しい想い出になって、愛おしさすら感じるようになってしまう。それでも、美しくならない思い出も多い。

 

今日はなんだか、想い出にひたる時間の多い一日だった。体調が万全じゃなくて、現実逃避をしようとしていたのかもしれない。自分ではそんなつもりはまったくなかったのだけれど、そうじゃないとも言い切れない。私には、何年も前の記憶を呼び戻して、想い出にひたってしまう癖がある。今日はその時間が長かっただけなのかも知れない。

今朝起きてから、会社へ向かう電車の中までの間、小学校一年生の時の学芸会について思い出していた。どんな出し物をしただとか、歌った歌の歌詞や、台詞、担任の先生の指導の仕方なんかを思い出して、懐かしい気持ちにひたっていた。その記憶は別に嫌な想い出ではにのだが、思い出して嬉しい類いの記憶でもなかった。

 

会社の昼休みに一人になった時ふと思い出したのは、中学のころ寮に入っていた時の記憶だった。

 

私は、中学の頃二年半程寮生活をしていたのだが、その頃の思い出にろくなものはない。もちろん、楽しかった思い出もないわけじゃないのだけれども、大半は忘れてしまいたいような思い出だ。二人部屋だったのだが、同室の人と上手く行かなかった思い出とか、友達のものを盗んだこととか、盗まれたこととか、いじめられたこととか、いじめたこととか、自分を守る為に友達を売ったこととか、そんな類いのろくでもない思い出である。他にも、思い出しても嬉しくない思い出が沢山ある。

 

今日、ふとその頃のことを思い出して、懐かしく思った。ろくでもない思い出でも、20年近く時が経った今ではどこか懐かしい。寮の非常階段や、外に出て隠れてタバコを吸っていたこととか、思い出しても楽しくも嬉しくもない思い出だが、なつかしい。

 

そんなことを今日は時折思い出して、一人で

「ああ、イヤだ、イヤだ」

と思っていたのである。今更イヤだと思っても仕方ないのだが、自分のなかで未だ決着がついていないのか、今でも時々思い出す。そして、それらの思い出にひたって、暗い気持ちになる。

 

寮官にしかられて殴られたこと。寮官に呼び出されて尋問されたときに、友達をかばって名前を出さないようにしたらぶん殴られたこと。そしてそのことに屈して友達の名前を出してしまったこと。それらのイヤな思い出は今になってもイヤな思い出のままだ。

 

いつまでこんな記憶を引っぱっていくのだろう。きっと墓まで持って行くことになるのだろう。思い返すと、今までの人生の大半が思い出したくもないような記憶の蓄積だ。それらの思い出を思い返し、それらの記憶にひたりながら、これから先の人生も生きていくのだろう。

 

ああイヤだイヤだ。

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コメント: 3
  • #1

    and_tkt (火曜日, 08 3月 2011 23:24)

    僕も今日は働いてる最中に思い出したくない思い出を思い出して頭ふりふりしていたのですが、
    その直後無意識に、「おっぱいもみもみー」と節をつけて独り言を言っていました。
    今まで気付かなかっただけで、今までも無意識にやってたのかも知れません。
    よしさぶろうさんもぜひお試し下さい。
    一気に心が和みます。

    こちらはおまわりさんのリンクです。
    http://www.youtube.com/watch?v=qb4jMzC0kiY

  • #2

    yoshisaburo (火曜日, 08 3月 2011 23:28)

    岡林信康僕も好きです。

  • #3

    そうろうの原因 (火曜日, 05 5月 2015 01:09)

    「俺は、アンタしかいらない???」