ロードムービーって言うジャンルは、結構確立されていて、数々の名作があるようだけれど、私はあんまり見たことがない。見たことはないけれども、ロードムービーに漠然とした憧れって言うのか、ロードムービーと聞くと、なんだかウキウキする。
イージーライダーは、ロードムービーに含まれるのだろうけれど、あの映画は大好きで何度も見た。もう、何十回も見ているから、今更あの映画について何か書こうにも、おそらく何も書けない。あの映画について言葉で何かを伝えようとしても、2台のチョッパーが地平線までつづく道を並んで走るシーンの数々を語り尽くすことはできない。
あの映画の他に、見たことのあるロードムービーと言えば、ヴィム・ベンダースの何本かの作品くらいだろうか。
ベンダースも、面白い映画も沢山作っているが、退屈な映画も多い。純粋な映画ファンではない私には、彼の作品の魅力がいまいちつかめないでいる。確かに、旅はそれだけで物語になるし、車窓をながれて行く景色の美しさはメカスやベンダースをもちだすまでもなく、美しい。
ロバート・フランクの「アメリカ人」について、このブログでも何度も書いてきたが、フランクの「アメリカ人」はロードムービーやロードノベルのようであり、純粋な旅の記録とも言えないところもある。中古車に乗ってアメリカ中を旅して、旅先で写した写真を集めた作品集であるが、フランクの視線は、アメリカを旅しながらも一貫した冷たさを持っている。
旅の写真と言えば、ジョセフ・クーデルカの「エグザイル」も名作だが、あれも暗く、冷たい写真集だ。旅の記録っていうのは、どうしてもあんな風に暗く冷たくなってしまうものなのか?それとも、私が好きな旅の写真集がそういう側面を持っているのか、旅が明るく・楽しく描かれている写真集って何か思いつくだろうか?ウィノグランドの1964年の旅はそこそこ楽しそうだけれど、あれについては纏まった写真集が作られたわけではないので、何とも言えない。
フランクが提示した旅の写真のあり方は、今でも通用していて、同じ文脈に則り数々の写真集が作られている。旅の方法は電車だったり、車だったりそれぞれだけれど、フランクの方法論は万能で、あの方法論に則ればある程度のものはでき上がるし、それに独自の工夫を施せば、新しい旅写真のあり方を提示できる。
それらの写真についてはこのブログで何度も紹介したけれども、なかなか興味深い分野だし、見ていて飽きることが無い。フランクの方法論はよくできているので、それを模した作品が退屈なわけがない。必要なものは、カメラと、旅支度と中古車等の異動手段だ。写真の上手い下手や、才能は作品集の完成度の高さや、できの良さに関わってくるけれども、写真の方法論を楽しむ目的の為であればそれほど重要ではない。
最近、私もバイクという異動手段を手に入れた。まだ運転もままならないところがあって、安全の為には運転に集中することが求められて、風景を楽しむどころではないけれども、バイクを降りた時ぐらいなら写真をとることができる。バイクと、フランクの提示した写真の方法論を用いて今の自分に何ができるかを一度試してみたい気もする。何も産まれないかもしれないし、何かが産まれるかもしれない。
何かが産まれるかもしれない、非常に確率の低い可能性をしんじ、シャッターをきり続けるのが写真の定めなのかもしれないので、近いうちに試してみたいと思う。
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and_tkt (月曜日, 25 4月 2011 21:56)
バイク一つでものすごく可能性が広がって来る感じ、伝わって来て羨ましくなってます。
僕は中古車が欲しいです。
Buickのリーガルワゴンが良いです。
昔愛知万博行きましたね。
あれもなかなかロードムービーじみてました。
ところで、最近Facebookをまじめに始めました。
お時間あればご覧下さい。
http://www.facebook.com/takuto.ando
yoshisaburo (火曜日, 26 4月 2011 21:04)
コメントありがとう。
バイクは確かに行ける範囲がグッと広がってなかなか嬉しいのですが、運転がままならないから、ひやっとすることばかりで、こわいです。
中古車も良いですね、大きめの車を買ったら、シノゴとかバイテンとかの撮影機材も持って歩けるから良いですね。僕は、車の運転は苦手だから自動車があっても使えないのですが、もし車を運転できるのであれば、撮影機材を載せて旅に出たいですね。アンセルアダムスも、スティーブンショアも大きめの車にバイテンの機材を載せて写真撮ってたわけですから。憧れちゃいますね。
万博行ったこと、私も学生時代の思い出の中のひとつのクライマックスでした。自動車やバイクがあれば一人でどこへでも行けるって知って嬉しかったですね。私は、一人旅はあんまりやったことないので、バイクで一人旅の修行をしようと思ってますが、ロードムービーをとるなら、一人じゃなく、道連れがいた方が良いでしょうかね。
万博の思い出についても、いつか書いてみようかと思ってます。
フェイスブック、ぼく使い方解らないけど、見てみます。