今日は体調がいまいちだったことに加え、10時過ぎまで仕事だったのですっかり疲れてしまった。
すっかり疲れてしまったので、表題のような大それたことは書けないんだけれど、クリフォード・ブラウンの「ウィズ ストリングス」を聴いていたら、ふと、トランぺッターについて考えたくなった。
クリフォード・ブラウンは確かに凄いトランぺッターだ。技術、音色、フレーズ、何をとっても素晴らしい。小学校の通知表はおそらく「オール5」だ。甲、乙、丙で言うと、まあ、どうでも良いか。
じゃあ、クリフォード・ブラウンに勝てるトランぺッターは誰だ?と言うことになると、なかなか難しい問題だけれど、マイルス・デイヴィスという方もいると思うし、アルトゥーロ・サンドバルなんじゃないか、という人もいるだろう。音楽は勝ち負けじゃないと言っても、トランぺッターの世界では勝ち負けが重要である。「誰が一番凄いか」トランぺッターたるものそのことしか考えていない。
一緒のステージに立つ時「俺は世界一だ」って思っていないと、あんなバカでかい音のする楽器を吹けません。
話はとぶけれども私は、チェット・ベーカーが好きだ。彼の音色はトランペットという楽器の騒がしいイメージとは無縁の、凛々しいリリシズムによって満たされている。世界一カッコいいトランぺッターの一人だ。バップフレーズもそつなくこなし、押付けがましくない。サンドバルが訪問販売だとすると、チェト・ベーカーはカタログ通販だ。
押付けがましくないという意味では、ジョー・ワイルダーやトニー・フラッセラも忘れてはいけない。もっと上手いトランぺッターは他に沢山いるけれども、彼ら程奥手なトランぺッターも珍しい。テクニックは充分、歌心も十分、音色も個性が光る、けれども、おそらく世界一じゃないだろうな。
忘れちゃいけないのがディジー・ガレスピー。彼の写真を見たことある人だったら、トランペットという楽器の恐ろしさを知っているだろう。「えー!トランペット吹いてるとあんな顔になっちゃうの!?」って思うだろう。私も幼少の頃朝日新聞の日曜版でディジー・ガレスピーを初めて見た時は、怖くなって独りでおしっこに行けなくなった。それほど強烈なインパクトがある。音色もキラキラしていて、テクニックも最高!トランペットという楽器を使って彼に表現できないものはない。全てのモダンジャズトランぺッターの先生だ。ディジーのスタイルを知らないでジャズのトランペットを吹けるやつはいないだろう。マイルスの師匠みたいな、存在。
テクニックで世界一と言えば、オーストラリアにジェームス・モリソンって言う凄いやつがいる。オーストラリアはトミー・エマニュエルみたいに超絶技巧のミュージシャンが沢山いる。おそらく楽器の他に楽しいものなんもなくて、時間が有り余っているから、ついつい練習しちゃってすごいミュージシャンができ上がってしまうんだろう。伊達にコアラとかカンガルーみたいな動物がいる国じゃない。有袋類みたいに特別な進化しちゃうんだろう。ジェームス・モリソン、最近は超絶技巧ばっかりを披露しちゃっているけど、ほんとはものすごい豊かな音楽センスを持つ人です。
ジャズばっかりで退屈しちゃうって言う人には、とりあえずニニ・ロッソの存在も忘れてはいけないでしょう。「1にマイルス、ニニロッソ」って言うくらい、トランぺッターの世界では忘れてはいけない存在です。私が初めて買ったトランぺッターのレコードはニニロッソのベスト盤でした。ニニロッソくらいラッパが吹けたら、人生十分生きた価値があるというもんです。
じゃあ、ウィントン・マルサリスはどうなるのよ?っていう方もいるでしょう。ウィントン程現在のミュージックシーンで重要なトランぺッターは他にいないでしょう。ジャズを復活させた男、です。私は若い頃の「スタンダードタイム」が愛聴板です。特に2作目。最近は音色が個性的すぎてちょっと飽きちゃうのが玉にきずですが、バックの頃は凄く良い音でした。
最もトランぺッターに好かれるトランぺッターと言えば,フレディー・ハバードですかね。フレディーはトランぺッターらしいトランぺッターです。なんせ男気があります。16分音符を吹かせたら、彼の右に出るものはいません。ハイノートも、もう精一杯、果敢に挑戦して行き、毎回が真剣勝負です。あんなトランぺッターになりたいですね。
オイオイ、ルイ・アームストロングを忘れるなよ。と言われそうですね。ジャズが今日、ここまで発展したのは、結局ルイ・アームストロングがいたおかげです。彼に足を向けて寝れるトランぺッターはいないでしょう。
今日は眠たいのでここまで。
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松本 翼 (土曜日, 18 3月 2017 15:07)
ウディー・ショーをお忘れですね、彼が一番ミュージシャンが認めたトランぺッターです。