ガス欠で動転の後、森山大道を見る。

森山大道の写真はやっぱりカッコいい。

少々味付けが濃いところが気に触って、あんまり大好きにはなれないけれども、やっぱり写真の世界をリードし続ける写真家だけあって、写真に説得力がある。

 

森山大道の写真は、かっこ良くきまることを躊躇しない。ほれ見ろカッコいいだろ、どうだ参ったか、という感じがする。だから、私たちも、その完成度の高さに参ってしまうし、言葉が出なくなってしまう。森山大道さんがいまどう思って写真を発表し続けているのかわからないけれども、彼の写真の持つドラマチックさと、それを突き放すような視覚的ギミックは、ひとつの写真の作法として、写真の世界で通用している。

今日は天気がよかったので、バイクで明治通を走った。

 

明治通ってずっと走ったらどこにたどり着くか気になっていたので、早速今日それを確かめにいった。

 

亀戸を通過し、もうこの先はまたの機会にしようと思って、浅草橋のあたりまで折り返してきた時、突然交差点でエンジンが止まってしまった。右折レーンにいて、右折するタイミングを伺っていた時の突然の出来事だったので、どうして良いのかわからず、狼狽した。何度スターターを押してもエンジンがかからない。「そんなはずはないだろ、この前買ったばっかりだぞ」と思いながら、何度もエンジンをかけようとしても、エンジンがかからない。後ろの車にクラクションをならされながら、どうしたら良いのかわからなくなってオロオロしているうちに信号が赤になった。

 

「助かった」と思って、歩道までバイクを押した。そこで何度もエンジンをかけようとしても、やっぱりかからない。10分ぐらいオロオロしていたが、もう諦めようかと思ったときに、ふと冷静になった。「ガス欠かもしれない」そう思って、ガソリンタンクのコックを「リザーブ」の方にまわしてエンジンをかけてみた。

 

「かからない」

 

何度やってもかからない。「困った」ついにレッカー車の出番かと思ってバイクを押して邪魔にならないところにやろうと思っていた時、最後の一回と思ってスターターを押したら、エンジンがかかった。助かった、只のガス欠だった。

 

けれども安心はできない。リザーブの中にどんだけガソリンが入っているかもわからんし。それで、急いで帰ろうと思ったんだけれど,そう思っている時程道がわからなくなる。何度も道に迷いながら、なんとかガソリンスタンドにたどり着いた。

 

まあ、そんなことがあって、焦っちゃってバイクの運転が荒くなってしまっていた。ウインカーは出しっぱなしにして走ってしまうし、巻き込み確認をしないで左折するし。右折しようと思ってバイクをバンクさせたらバランスを崩してしまって、右足をついた。その時は冷静じゃないから痛みは感じなかったけれど、今になってちょっと痛くなってきた。筋をのばしてしまったのかもしれない。

 

家に帰ってきて、和んでいると、珍しく電話が鳴った。ねえさんからだった。東京に来てるからコーヒーでものもうとのことだったので、着替えもせずに銀座へ。

 

銀座で、とりあえずコーヒーを飲み、その後BLDギャラリー(だよね?忘れちゃった。)で森山大道の写真展を見た。まるでクラインの写真展のような、勢いのあるスナップショットの数々を前にして「森山大道ってまだまだいけてるんだな」と思ったけれど、何となく疲れてしまって。ギャラリーを後にした。

 

後味が悪いような気がしたので、その足でニコンサロンへ。僕はあげまんじゅうが食べたいと思ったのだけれど、ねえさんはあんことナッツが嫌いとのことだったので、あげまんじゅうはスルーしてそのままニコンサロンへ。

 

ニコンのサービスセンターにニコンのロゴが入ったカーキのドンケのカメラバックが展示されていた。なかなかカッコいいな、ということを確認してギャラリーへ。

 

名前は忘れてしまったが、韓国の写真家の写真が展示されていた。墓地の写真なんだけれど、雪が降っていたりして、凄くシブい写真だった。ああ、韓国に凄い写真家がいるんだな。と思って、写真集を購入。私も、スナップショットをとるハシクレとして、大変感銘を受けた。それだけで、充分お腹いっぱいになったけれど、ドキュメンタリーだったので、何となくこのまま帰るのも物足りない。

 

ライカの店に行って、M9が77万円になっていることを確認。やっぱり高いわね。と思って、そこにあったM7のシャッターをきってみる。「カチ」と大きな音がして、「ああ、今時のライカの音だな」と思って、二階のギャラリーへ。キャパの写真が飾ってあった。ヘミングウェイをとった写真。

 

そういえばキャパは、ヘミングウェイをパパと呼んでいて、ヘミングウェイはキャパのパトロンだったな、と思いながら写真を見る。キャパの写真は何も考えていないので常にステキだ。きっといろんな修羅場をくぐってきて、被写体を理解したり、共感したりすることを放棄してしまったんだろう。だから、理解したり、共感するのは常に見ている私たちにゆだねられる。

 

そんなキャパだけど、どこかにロマンチストというか、理想を掲げているようなところがあって、そこが何とも人間らしくていい。マーティンパーみたいな冷たさがない。まあ、マーティンパーも素晴らしいスナップシューターだけど。

 

それで、写真に満足して、ねえさんとポルトガル料理屋へ。ポートワインなんかを呑んで、ご飯を食べた。ねえさんから、近況を聞いて、あんまり良いことがないみたいで、何となくしみったれた話になってしまった。複雑な恋愛の話を聞いたり、東北地方の原発と地震の話を聞いて、なんだかラディカルな考え方に触れて、俺は何も考えないでのほほんと写真を撮ってるな。と思って、ちょっとほっとした。

 

複雑な気持ちになった。ねえさんの話している男っていうのも一回見てみたいとは思ったけれど、面倒なことに巻き込まれたくもないので、やっぱりあわない方が良いだろうな、なんて考えているうちに時計は九時頃になってしまった。

 

品川から新幹線に乗るって言うから、品川まで送って、さよなら。

 

私も、最近色々あって、どんどんつまんない大人になっている自分に嫌気がさしているんだけれど、時は無情にながれて、明日がきて、明後日がきて、それでどんどん時間が過ぎていく。こんな味気ない毎日がイヤになるな。って思うけれど、そこそこ幸せだし、写真も撮れてるし、まあ良いか。そんなことを思った。

 

ねえさんから「私と心中できるか」って冗談で聞かれて、「死ねないよ、怖いから」って答えちゃった。世の中そんなにドラマみたいに心中してらんない。また来週末もバイクに乗りたいし。ねえさん、ごめん。けど、心中するような奴らと付き合っても、きっとつまんないよ。生きることだけで精一杯なのが、普通なんだから。何かのあてつけに心中しようなんてしょうもないこと考えても、良い小説が書けたり、良い写真が撮れるわけじゃない。

 

あと、ブログのアクセス数が急落したから、ブログ見に来てください。

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コメント: 2
  • #1

    and_tkt (月曜日, 16 5月 2011 22:30)

    今日の記事、すごくグルーヴィーで素敵です。
    毎晩ありがとうございます。

  • #2

    yoshisaburo (火曜日, 17 5月 2011 00:28)

    コメント頂きありがとう。励みになります。
    一週間前からブログのアクセス数ががたんと落ちて、弱気になっていたところでした。
    これからも頑張ります。ありがとう。