戦前のブルースも、なかなか悪くない。悪くないけれど、やっぱり録音技術とか未熟だったせいで、音質はあんまり良くない。それに、やっぱり今日の音楽みたいにこなれていなくて、ちょっとつまみ食い的に聴くのは良いけれど、専門に耳を傾ける為には、ちょっと体力と、忍耐力がいる。
戦前のブルースは、今のポップスみたいに向こうから歩み寄ってはくれない。海鞘の酢の物みたいに、こっちから好きになってあげないと、向こうから愛想良く振る舞ってはくれない。普通に聴いても、全然良さがわからない。
それでも、戦前のブルースマンは結構技巧派の方が多いので、そういう超絶技巧を堪能するとかそういうことができるかもしれない。けれども、戦前って言ったってみんながみんなモジョハンド持ってたわけではない。モジョハンド持ってるロバジョンとかだったら聴きやすいけれど、スキップジェイムスとか、どうなんだろうね。
スキップ・ジェイムス何が良くて聴いているのか。もしかしたらこれは良薬口に苦しとか、グレイプフルーツジュースみたいなもんで、この口当たりの良く無さが良いのかもしれない。スキップジェイムスは全然口当たりよくない。消化に悪い。けれども、まあ、この人のCD買ってありがたがって聴いているわけだし、なんかどっかに魅力があるんだけれど、この人がもし無名の音楽家だったとして、それでも聴くのか?
はなはだ疑問である。
あと、ブラインド・ウィリー・ジョンソンも結構口当たり悪い。私が中学の頃買ったブルースのコンピレーション盤の一曲目と二曲目がブラインド・ウィリー・ジョンソンだった。それで、そのCD家に持って帰ってCDプレーヤーに突っ込んでがっかりした。全然訳が分からない。どこが良くて、今日までこの人の音源が残っているのかわからなかった。あまりにも灰汁が強すぎて、実家の母親がいる前ではなるべく聴かないようにしていた。あの濁声が怖かった。
けれど、まあ、今考えてみるとブラインド・ウィリー・ジョンソンはなんだか迫力って言うのがあるミュージシャンで、あんなに力強い音楽は今日のヘビメタですら寄せ付けない。聴いたこと無い方は一度聴いてみて下さい。山崎まさよしみたいな音楽期待して聴くとがっかりしますから。
今聴いてみると、結構良いじゃない。Blind Wille Johnson。力強い。なんだかこの人継母に顔に塩酸かけられて目見え無くなっちゃったらしいから、結構苦労しているんだね。「ほら、俺苦労してんだよ」っていう恨み節みたいなのが聞こえてくるでしょ。
それで、スキップジェイムス。スキップジェイムスはどこが良いのかね?これはもう、くさやがウマいかみたいな世界だね。まず、スキップジェイムスちょっとおっかない。この人の歌声家で留守番しているときに聴こえてきたらおしっこもらしそう。でも、そのおっかなさの中にもブルースのエッセンスが沢山詰まっていて、凄い味に仕上がってる。
これってあれかね、ブランデーとかストレートで飲むとどこがウマいんだかわかんないことあるけれど、ほのかにブランデーの香りがするお菓子はおいしいみたいなもんかね。これはもうボウモア好きか嫌いかの世界だね。僕は好きだけどねスキップジェイムス。
皆さんも聴いてみて感想聴かせて。
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早漏 (木曜日, 07 5月 2015 22:22)
「もう、ずっと、ずっと俺の側を離れるな。」