世界一じゃないレンズが世界一素晴らしい。

昨日ちょっと写真の話しましたが、来しかたを振り返り、私は写真に真剣に関わっていたのと同じくらい、か、もしくはそれ以上にカメラ等の撮影機材と深くおつきあいをしてきました。

 

ニコンの一眼レフ、それが全ての始まりです。いや、正確にはその前にオリンパスのデジカメを買いました。Camediaの2020、明るいレンズがついていて室内でも良く写るデジカメでした。あのデジカメでマニュアルカメラの扱いを覚えました。露出や被写界深度についての実地研修付きの教科書でした。

 

オリンパスのデジカメ、当時は結構良い値段しました。だいたい一式揃えて10万円弱だったかな。本当に高い買い物でした。当時学生だった私が何故それを買える程のお金持ってたかは知りません。

 

今日はカメラについて思うところを。

カメラと付き合い始めた頃は、何でもスペックが高い方が良いと思ってました。

 

たとえば、レンズは明るければ明るい方が、シャッタースピードは早ければ早い方が、ファインダーの視野率は100%に近ければ近い方が良い、と勝手に思っておりました。

 

ニコンならF一桁台シリーズに、50ミリF1.4とかのレンズ。こんな組み合わせが理想だと思っておりました。

 

もし私がプロのカメラマンで、スポーツとか報道写真とかを撮るのであれば、あるいはその考え方、そのイデオロギーで良かったのかもしれません。でも、世の中そう簡単なもんじゃないのです。カメラ小僧、こっからよく聞けよ。

 

高いレンズ、まあこの場合超広角とか、ものすごく明るいレンズ(F2以上の)とかは一見良いようにも思えますが、その実あんまり役に立たないのです。

 

まず、超広角。あなたその画角についていけますか?たしかに広角レンズは使いやすい。28ミリなんて狭いところでもとれるし、被写界深度は深いし使いやすい。何でも写ります。夜でも使えます。でも、だからって良い写真が撮れますか?写真ってある程度窮屈な状態、使いづらい機材の方が面白いものとれたりするんです。狭い部屋で50ミリで撮ってみればわかるけれど、凄く使いづらい。けれど、その50ミリの画角が新鮮なんですよ。目で見る世界と違う。

 

それに明るいレンズ。そんな明るさ必要ですか?私は日中外で撮る時はいつも絞り8か11で撮ります。いくら明るいレンズついてても、絞っちゃうから関係ない。屋内でも絞り4以上開けることはありません。だいたい明るいレンズは大きくて重い。それギリギリのところで設計しているから、レンズ設計に限界がある。開いても絞っても良いレンズってそんなに無いと思います。くらいレンズはその点個性豊かですよ。暗いからレンズ設計に余裕がある。制約が少ない。それだけレンズの味付けに拘れる。だから軽くて使いやすいくらいレンズが好きです。

 

だいたい明るいレンズが良いって言うのは、一眼レフで使ったとき使いやすいからなんでしょうけれど、一眼レフのファインダーなんてF4くらいのレンズでのぞいた方が良いんですよ。明るいレンズつけると、ファインダー像が美しすぎる。従って見とれてしまう。それに対して暗いレンズはピントもよくわからないからとりあえず絞って使うっきゃない。だからくっきり良く写る。

 

ボケが美しいって言う表現ありますけれど、ボケを美しくすることと、レンズを明るくすること両方を満たすレンズなんてそんなに簡単に作れない。それに対して暗いレンズはレンズの味付けをする余裕がある。低予算のレンズだからこそ個性が出過ぎない奥ゆかしさがある。それが面白いじゃないですか。

 

シャッタースピードもしかり。そんな速いシャッタスピード使ったことありますか?だいたい明るすぎるレンズ使うからそんな速いシャッタースピードが必要になっちゃうんじゃないですか。

 

だから、私の写真器材の結論は、ある程度使い勝手にクセがあって、写りもそれほどクセが強くない中に奥ゆかしさがある、ひなびた温泉街のような機材が良いとの結論に達しました。

 

それを一番楽しめるのは大判写真だと思います。

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コメント: 1
  • #1

    通りすがり (金曜日, 24 5月 2019 06:58)

    カメラ小僧の域を抜け出せない理論でワロタ