ロックギターっていうのは、ギターの表現できる音楽のごく一部でしかない。確かに、プログレッシブロックなんかもあるから、ロックギターって一言に言っても色々あるんだけれど、それでも、あまりバリエーションが多いとは言えない。
例えば、タワーレコードに行く、そこでギャロッピングのギターが入ったロックのアルバムを探す。残念なことにブライアンセッツァーと古いロカビリーのアルバムが数枚あるだけで、他には殆ど見つからない。
ギャロッピングはカントリーのテクニックだからカントリーコーナーで探すとしても、ロックコーナーに置いてあるレコードに収録されたギターの演奏はおしなべて平凡なものばかりである。
ロックのギタースタイルは、ほぼ全てがブルースロックの奏法に端を発しているものか、コードカッティングである。だから退屈だ。ロックギターがこんな風に退屈になってしまったのはおそらく、ロックの3大ギタリストのせいなのではないかと思う。だから、今まであんまり3大ギタリストは好きになれなかった。
クラプトン、ジミーペイジ、ジェフベック、三者ともブルースをルーツにした奏法である。ジミ・ヘンドリックスもブルースを基調としている。その為かその後に続くギターヒーローの多くがブルースの影響を受けたスタイル、ディストーション、チョーキング、とペンタトニックとビブラートの応酬となっている。
ジェフベックはその中でも特に苦手だった。ジェフベックはギターを歪ませすぎる。ストラトをマーシャルにつないでああいう図太い音を出せるのは尊敬に能えするが、あのおとが好きになれなかった。アーミングを多用してピッチがあんまり良くないのも好きでなかった。
だから、うちにはジェフベックのアルバムが殆ど無い。数枚しか無い。
しかしながら、そのジェフベックがクリフ・ギャラップのトリビュート盤を出しているのだけは気になっていた。このたび、そのアルバムを聴いてみた。なかなか良かった。ロックのギターの一つの可能性の一端が、進化せぬまま形をとどめている、そんなタイムカプセルのようなアルバムだった。
ジェフベックのファンはどう思ったかわからないけれども、本当にギターは上手いのだから、歪ませないギターでギャロッピングの可能性を充分に消化させた新しいっすタイルのロックギターを奏でてもう一枚アルバムを作って欲しいと思った。
その夢かなってか、ジェフベックがLes Paulのトリビュートライブを行ったライブ盤が発売された。気にはなっていたが、ジェフベック嫌いなのでしばらく放っておいた。このたび、聴くべきレコードが無くなってしまったので購入してみた。なかなか良かった。
良かったけれど、ジェフベックはブライアンセッツァのスタイル以上にギャロッピングを昇華させたギタースタイルは提示していなかった。
ああ、ギャロッピングの未来ってどうなっちまうんだろう。
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ED治療 (火曜日, 05 5月 2015 03:19)
「イケナイ子だね。君は僕の物だってこと、分かってる?」