世の中にこういう写真を撮れる人がもっといればいいのに。Fred Herzog礼讃。

連休がやってきました。今夜は雨だけれど、明日は晴れると良いな。晴れたらバイクに乗れるのに。

 

世の中捨てたもんじゃありません。連休だからではありません。もちろん連休も嬉しいですが、もっと嬉しいことがありました。新しい写真集を買いました。Fred Herzogの写真集です。

 

Fred Herzogなんて発音するのか知りませんが。とても素晴らしい写真家です。私はWinograndが好きで、特にWinogrand1964に掲載されているカラーの写真が最近気になっているのですが、あれからもっとクセをなくして、カッチリ撮った写真に出会えました。

Fred Herzogは、ドイツ生まれでカナダにお住まいらしいのですが。私も、この写真集の写真しか見たことが無いので、他にどんな写真を撮っている方なのかは知りません。

 

知りませんが、この写真集に掲載されている写真のうち10枚でも自分の生涯で同じような写真が撮れるとしたら、きっと幸せでしょう。ずっと前にGeorge Ticeの写真について触れましたが、あの写真のもつ静けさと、乾いた質感も写真の完成形として大好きですけれど、Fred Herzogはそれを35ミリのカラーにして、動きを加えたような写真です。

 

一方で質感はもっと湿っていて、アウトフォーカスが美しくにじみ、写真がフォトジェニックになることを肯定的に受け止めている写真です。写真にもっと即物性を求めたり、硬質なものを求めている人にとっては、好きになれない写真かもしれませんが。私は大好きですこういうの。偶然でもこういう写真家を知ることが出来て幸せです。

 

写真は、様々なエッセンスの集合体の芸術のような気がしますが、Fred Herzogの写真は現代写真が切り捨ててきたトカゲの尻尾を、簡単には切り捨てずに後生大事に撮っておいてあります。だから、わざとらしいコンポジションも、情感も、フォトジェニックな被写体も、絶妙なフォーカスも、すべて残っている写真です。

 

そして、彼の写真の魅力の一つは、写真の撮られ方が丁寧なことです。まるで、ビューカメラで撮られた写真のように、スナップでありながらも縦のラインが揃ってます。35ミリでスナップすると、ともするとこの平衡感覚やコンポジションを荒したくなるところですが、Herzogの写真はそういう風にならないように、折り目正しく、さりげなく、まとめられております。

 

最近、カラーの写真集を何冊か買いましたが、この写真集はお買い得です。