マイルスのマラソン録音、5枚組で1,690円だった。

マラソン録音って、プレスティッジの一部のアルバムを指すときに使う意外にどこか他で使われる言葉なのでしょうか?

私は、マイルスのマラソンセッションと、チェットベーカーのマラソン録音以外で、この「マラソン」なる言葉を音楽に用いている例を知りません。

 

CBSに移ってからのバリバリにモードジャズを押し進めるマイルスが好きな方にはあまり評判は良くないかもしれませんが、私はマイルスのマラソンセッション大好きです。Prestigeの頃のマイルスだけ聴いていれば、大満足です。

 

ジャズを今まで聴いたことのない方、とりあえずマイルスのマラソン録音のどれか(個人的にはリラクシンがお勧め)を聴いてりゃ間違いないでしょう。

マイルスデイヴィスというジャズ、及びブラックミュージックの巨星が放った作品の数々はその膨大なカタログとそのパワーのため、言葉では上手く表現できない。ジャズという音楽を50年代以降40年近くに渡りリードし続けたということだけで、もう充分すぎる程語られるマイルスデイヴィスだけれど、じゃあ、結局どのアルバム聴けば良いのかと聞かれると、はたしてどれが良いのか困ってしまうでしょう。

 

うるさ型のジャズ雑誌の特集とかではやっぱり「Kind of Blue」でしょうか。あの陰鬱なアルバムからマイルスに入ると、マイルスの暗い部分にひき込まれてしまいそうで私はあんまりお勧めしません。

 

アドリブで丁々発止やり合うっていうような音楽を聴きたいのであれば、とりあえず「Four and More」なんて良いかもしれません。マイルスのバンドのメンバーが皆若くて雄弁で、時に出しゃばりで、もう一瞬たりとも隙がないっていうような、そういう騒がしい音楽を期待される方は、60年代のクインテットが良いでしょうね。私はウェインショーターあんまり好きでないので、ジョージコールマンのブリブリした男前のサックスの方が好きなのですが。マイルスのバンドにはしっくり馴染んでないために、ジョージコールマン好きじゃない人もいるみたいです。ジョージコールマンがちょっとソウルジャズっぽい要素も持っていたので、あの頃のマイルスバンドは面白かったんだと思います。

 

僕は、ガキの頃から色んなジャズを聴いてきましたが、結局はモードに入る前のハードバップが一番好きみたいで、マイルスのアルバムではCBSより断然Prestigeの方が好きです。とは言っても、手元にはレコードばっかりだったので、面倒で滅多に聴きません。

 

それでも、昨日の晩にふとマイルスのマラソンセッションが聴きたくなり、手元のCDを見たら、「Workin'」と「Steamin'」しかなかったので、今日CD屋によって買ってきました。マラソン録音におまけで「Walkin'」もついて5枚組で1,690円。

 

これで、じっくりマイルスを聴けます。私ゃーもともとはこういうのより60年代に電気を導入したバリバリのマイルスが好きだったのですが、大人になると案外ああいうのは聴けなくなっちゃいますね。

 

マラソン録音がなんでこんなに良いのか考えてみると、あれですね。リズム隊の皆さんがタイトで、その上を自由にマイルスとコルトレーンが動き回っているのが良いんですね。マイルスと一番相性よかったのは結局コルトレーンなのかも知れません。コルトレーンのファンはインパルスに移ってからバリバリゴリゴリアドリブしまくるジョンコルトレーンが好きな方の方が多いかもしれませんが。あたしは苦手ですね、インパルスのコルトレーン。

 

ハードバップ好きだっていっても、ブルーノート系の暑苦しいハードバップはあんまり好みじゃないんですよ。グラントグリーンとジミースミスは好きですけど。

 

Prestigeっていうわりあい小さなレーベルでシコシコ作っているジャズがやっぱり良いですね。マイルスは何枚かアルバム出してますけれど、CBSに移ってからは出すアルバム出すアルバムジャズの金字塔、まさにマイルストーンともいうべき作品ばかりなのに対して、CBS以前のマイルスは、レコードの数は多いけれど、必ずしも名作ばかりではない点、エポックメイキングな音楽ばかりに気をとられずに、好きなようにラッパを吹いている点が、好感モテます。

 

CBS以降のアルバムはどれも、プロデューサーに踊らされているような気がして、あんまり好きじゃありません。

 

だから、ジャズって聴いたことないし、マイルスナントカっての聴いてみたいの、っていう娘にはとりあえずマラソン録音を聴かしておけば良いでしょう。マラソンという言葉の響きもいいですし。