匿名の街としての東京.内堀晶夫「風町」

今日は午後体調が悪くなり、会社を早退し内科にかかった。

 

幸い何事も無く、胃薬をもらって帰ってきた。帰ると、アマゾンで買った内堀晶夫の「風町」が届いていた。ずっと欲しかった写真集である。この本はいつでも手に入るような気がして今まで買っていなかったが、内堀氏の写真が見たくなったので、この度購入した。

 

写真集が欲しくなる季節なのかもしれない。同時に3冊も写真集を購入した。内堀氏の写真集2冊と、尾仲浩二の写真集1冊だ。どれも、街の風景を撮影したスナップ写真である。

私はストリートスナップの写真が好きで、手元にある写真集の多くがスナップである。特にウィノグランドと桑原甲子雄が好きで、手に入る写真集は全て買って持っている。ストリートスナップが好きになったのは豊原康久氏の写真を見たことがきっかけだが、街の織りなすドラマが面白く感じたのだ。

 

内堀氏の写真は「街」を撮った写真である。街の姿は、光線の具合、レンズの作り出す遠近感等で様々な描かれ方をされてきたが、内堀氏の街の写真はとてもニュートラルだ。毒は無いが、かといって面白みが無いかというと、とても面白い。何がニュートラルかというと、街の姿を批評したり、変わりゆく街の姿を嘆いたりはしない。ただそこに広がる街の姿を、静かに、しっかりとカメラに収めている。

 

人物が登場する写真も多く、約半分がストリートスナップである。内堀氏の人物の写真はどこかしっとりしている。街の写真もそうだが、ありふれた日常の中のしっとりした部分がこれらの写真の中にある。そのしっとりした質感が、とても写真的で面白い。何が写真的かと言われるとはっきり答えるのは難しいが、そこにあるものはなんでも写っているように見えて、結局は写真の選び取ったもののみが提示されているのだ。

 

今日は調子が悪いので、続きはまた後日。