今夜は妻と一緒に代官山の「ヤギに、聞く?」に山梨ワインを囲む会に行ってきた。
山梨ワイン、湯葉料理、そしてジャズ。
そういう会だった。なぜ、そういう会に妻と出かけたかというと、学生の頃のジャズ研の友人(先輩?)がジャズ演奏をするというので、ワインもジャズも好きなんだからまあ、イッチョ嫁さんと一緒にジャズと山梨ワインでも堪能しようじゃないかということで、出かけた。
バンドの名前は佐野大介andバップス。バップス、あのビバップとかハードバップとかのバップである。うーん、ジャジーでオヤジくさい名前である。もう、ヘアトニックとバーボンと仁丹のニヨイがするのである。佐野大介&バップス。
佐野大介andバップスは、何度かメンバーが変わっているのだが、まあメンバーが変わる度新しい方向性ができて、それはそれで良いと思う。ジャズにマンネリは禁物。
禁物なのだが、ジャズ研の先輩でありドラマーの佐野さんは、まあリーダーだから彼の好きにやれば良いと思う。けれども、私のお目当てはピアニスト、森田珠美さん、彼女のピアノがしっとり、時に激しく、音楽を引っぱる、そういう構図が気に入って毎回聴きにいっているのである。マンネリも禁物だが、珠ちゃんのピアノは聴きたい。バップスが今後どうなるかはわからんが、珠ちゃんのピアノをイキのいいメンバーで聴けるという意味では、今のバップスは面白い。ただ、トリオ編成の頃に比べると、まとまりは無くなった。ベースがより自由に動くようになったので、リズムにハリがでた、サックスも入ったので華がついた、これはバンドにとってプラスなのだが、きっとリーダーの佐野さんも今の編成のバンドで統一感を出すのには以前より苦戦していると思う。ピアノトリオの頃は、ストイックなハードバップのコンボだったので、そのギャップが今後どうなっていくのか気にはなる。
まあ、そんなことを思いながら、のんきにワインを飲めて良かった。贅沢をいうと、ジャズの演奏はそんなに熱い演奏じゃなくても良い。酒を飲みながら真剣に音楽に耳を傾けるのは難しい。だから、ワインかジャズかどっちかにした方が良いかもしれない。飯はよかった。
今夜の話題に移ろう。
中学のとき、何年生だったか忘れたが、きっと中学2年の学校祭で、同級生と初めてバンドを組んで、学校祭でライブを行った。今考えてみると、ろくにコードも押さえられなかったのによくもバンドができたもんだと思うが、まあ、中学生のバンドなんて勢いだけで何とかなるのだ。
私はギター、ベースに小学生の頃からの仲のタツヤ、ベース、ドラム、ボーカルは誰がやったのか覚えていないが、きっとテキトウに先輩にお願いしてやってもらったんだと思う。それで、やった曲は、タツヤの持って来たLUNA SEAのジーザス、僕の持って来たチャックベリーのジョニービーグッド、ボーカルのやつが持ってきた尾崎豊のオーマイリトルガールだったと思う。それ以外の曲もやったかもしれんが、よく覚えていない。とにかく、まとまりのない選曲であった。ヒトに聴いてもらおうと思うより、とにかく、仲間と一緒に音楽をやる方法はバンドしか知らなかった。
それで、練習は殆ど、タツヤと私の二人でやった、ボーカルのやつも、ドラムとかをお願いしたと思う先輩も、殆ど練習には顔を出さなかった。前日のサウンドチェックで少々あわせた程度だった。
今なら、それくらいでも、まあまあ演奏はできるかもしれないが、いや、物覚え悪いから無理かもな。チューボーの頃はそんな練習だけだとろくにバンドとしてのていを為していなかった。
それでいきなり、学校祭当日である。本番である。
初めての生本番、本番絶対禁止のあの本番である。
とりあえず、下級生のバンドのサウンドチェックを聴く。うーん、我々よりも上手い。というか、ギタリストの私のリズム感の悪さは、ギターを始めて以来ずっとなのだが、下級生のバンドのリズムはタイトである。後の同級生になるタケハラ、こいつが奏でるディープパープルのリフにはなんだか貫禄があった。LUNA SEAのリフも満足に弾けてない私とは雲泥の差である。
しかし、こいつらのバンドには大きな欠点があった。
ボーカルがいないのだ。ディープパープルのギター、キーボード、ベース、ドラムを演奏できるメンツは揃ったのだが、哀しいかな中学一年生。ディープパープルの英語の歌詞を歌えるやつはいなかったのだ。それでも、しょうがない、もう本番である。
我々が見守る中、ボーカルなしで彼らはライブを敢行、スモークオンザウォーター、バーン、ハイウエースターとディープパープル三点止めをキメてきた。まあ、ボーカルがいなくても、バンドを聴きにくる奴らの大半は何らかの音楽好きな連中だから、歌わないなら俺が歌う、みたいになって上手いことライブは進められている。中学生ってのはいきよいがあるからこういう時重宝するね。
次に、我々の番が来た。
うまれて初めての本番である。初めてギターを人前で弾くということでガチガチに緊張していた。
本番5分前に、タツヤが私のとこきて、「おい、バンドの衣装どうスルベ?」と聞いてきた。衣装?あたしゃーギター弾くことしか考えてなかったから、衣装なんて考えてもいなかった。そういうファクターがライブに存在することをそのとき初めて認識した。衣装まで気がまわるとは、さすがLUNA SEAを持ち込んできたタツヤだ。ヴィジュアル系なのである。私は、フェンダージャパンの新しいギターを親に買ってもらって用意するまではやったけれど、衣装までは考えてもいなかった。このまま学校のジャージで良いんじゃないかと思っていた。
するとタツヤが「おれ、ボンタン2着持ってきたから、お前もはくか?」と聞いてきた。おー、衣装持ってきてるなんてさすがビジュアル系じゃないの。このままジャージじゃ格好つかないもんね。すぐに制服に着替えて、とりあえずボンタンをはいた。
あたしゃー、毎日制服しか着てなかったから、私服なんてパジャマか芋ジャーしか持っていなかった。シャツも柄シャツとか着たこともなかった。白い肌着のシャツだけしか持ってなかった。だから、ボンタンなんて、東京のイケてる若者とか、ジャニーズのアイドルとかが着てるもんだと思っていたから、こんな晴れ舞台にそのボンタンを着用できるのは何にも増して嬉しいことだった。さすがヴィジュアル系のタツヤである。そういうアイテムを揃えてきている。
それで、タツヤと私は、中学の制服のブレザーに、ワイシャツの胸をはだけて肌着をチラチラさせながらボンタンを着用して、ジーザスだのジョニービーグッド等を一生懸命演奏した。
今考えてみれば、ダサイ服装だったが、もう少し軌道修正をしていれば、ルースターズみたいに見えたかもしれん。その時の写真はないので、私たちの胸の中だけに残っている、ボンタンを着用し盲滅法にギターをかき鳴らしたあの夏の日。
あれから20年。ボンタンなんてあの日以来いちども履いたことはない。
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ed 通販 (火曜日, 12 5月 2015 00:28)
「何、顔真っ赤にしてるの? 本当に可愛い人だ。ふふ。冗談だよ」