記憶が消えてしまう前に④

映画館、それが今日たまちゃんから聞いた言葉だ。

珠ちゃんについては、過去に色々書いたから、今日は割愛しておく。私が注目している、才能あふれるジャズピアニストであり、私の好きな女性像を具現化したような、女神様みたいな女性だ。森田珠美さん。このブログを読んでくれて、彼女に興味を持ってくれたら、是非ライブに足を運んでみて下さい。

 

それで映画館。

 

私たち兄弟の思い出は、映画館からはじまる。映画館は特別な場所だ。

 

ああ、こんなに話し拡げちゃって収集つくのだろうか。時間が許したらお付き合いください。きっとためになる話しは全然出てこないでしょうが。

家族との記憶で、一番古い思い出は、映画館と花火大会だ。

 

記憶のある限り一番古い映画館の記憶は、スターウォーズだ。ジョージルーカスの出世作、スターウォーズの第一作。その映画に家族五人で行った。両親と姉二人と。

 

けれども、映画のことは殆ど憶えていない。なぜなら、幼い頃の私は映画の音声が大きくて、それが怖くて、映画を見れなかったのだ。だから、映画の前の予告編が始まった頃には泣き出して、結局映画は全く見れなかった。泣き出した私を父親が抱えて映画館のロビーに出して、泣き止むのを待って、館内に戻り、また泣き出したらロビーに出て、それの繰り返しだった。

 

けれども、映画を見に行くことは私たち家族にとって特別なことだった。映画を見に行くのはたいてい土曜日で、土曜日の午後、私が保育園で昼寝をしている時刻に、姉と父が私を迎えにきた。その頃は下の姉もまだ保育園にいたから、二人で昼寝を抜け出す。なんだか特別なことがこれから待っていると思うだけで、とてもウキウキした。

 

父と上の姉が保育園に迎えにきて、私と真ん中の姉をおこし、街へ出る。見慣れない高い建物、街の賑わい、そんな中を姉と手をつなぎながら歩く。その頃の私にはこれ以上のウキウキは知らなかった。クリスマスの朝、クリスマスイブに家族皆でいくロイヤルホスト、それと同じくらいウキウキした。もしかすると、それ以上にウキウキした。

 

映画館までの道すがら、その日に見る映画の話しや、映画の仕組み(フィルムをランプで投影して大きな画面に映すことなど)を父が教えてくれる。まるで、これから始まる世界は、全く新しくて、それでいて安心で、幸せであることを父が私たち兄弟に教えてくれているようだった。

 

それでも、いったん映画が始まれば、私は泣き出して、父はそんな私を抱えてロビーに出る。全く映画の本編を見ることなく。

 

スターウォーズにも行った,トムとジェリーにも行った、けれども、私の記憶の中にはそれらの映画は全く記憶にない。いつも、泣き出して父と一緒にロビーにいた記憶しかない。

 

けれども、今でも、家族で映画に行った日のウキウキは忘れられない。

 

それから十数年が経った。

 

子どもの頃の記憶のせいだろうか、姉は映画に熱中し、高校の頃から札幌のミニシアターでアルバイトをして、姉達と一緒に映画を見ることも多くなった。私も、小学校の低学年位から映画が怖くなくなって、家族皆ではじめから最後まで映画が見れるようになった。家族皆で映画をみる機会は随分減ってしまったけれども、映画館という場所に私たち家族の居場所はいつでもあるような気がする。

 

私を抱えて、ロビーに出ていたはずの父も、家族皆で見た映画のことは何故か憶えているようだ。スターウォーズがテレビで放映される度に、家族みんなで見に行ったことについて話す。家族皆で映画館に行き、帰りにファミリーレストランで夕ご飯を食べる。そんな幸せが本当にあったことを再確認する。

 

今でも、姉と一緒に映画を見に行く。姉と一緒に映画を見ることは、あの頃の家族を思いださせる。最後に、家族みんなで見に行ったのはたしか、シンドラーのリストだった気がするが、映画というものが時代を超えて、家族共通の体験になり得るということを再確認した。シンドラーのリストを見た夜は眠れなかった、きっと姉達もそうだったろう。

 

そんな家族の思い出が、映画館にはある。

 

さあ、これからどうやって予備校時代の話しに戻せば良いのやら、