妻との約束

4月1日、今日世間では年度初めなのか。

私も十年近く前に、安い背広に親父から貰った貧相なネクタイつけて、社長から辞令貰った気がする。親会社から来た話のつまらん社長と、年功序列終身雇用のくだらない会社での生活が始まった。
くだらないのは同期社員まで揃いも揃ってで、女性社員がそこそこ綺麗なこと以外は何もいい事のない場所だった。
昼飯を役員とイタリアンレストランで食べて、ワインをたらふく飲んだので昼間っから頭がぼーっとして、気付いたら五時だった。
まだ明るい自宅への帰り道、桜が満開で、なんだか虚しい気持ちになった。俺はこのまま、この中小企業で冴えない生活を送って歳をとって行くんだと思い涙がでた。
すぐに田舎に帰っていた今の妻に電話をかけて、東京に出てきて、俺と住もうと言った。もうこんな生活を独りで続けられなかった。
半年後くらいに妻が上京し六畳での二人暮らしが始まった。
そういや、あの時約束したんだ。ずっと一緒にいようって。
それが私の年度初めの記憶だ。

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コメント: 2
  • #1

    精力剤 (火曜日, 12 5月 2015 02:11)

    「何かに狙いを定めたら、簡単にはあきらめない。わたしは君がほしい。わたしに抵抗する時はそれを忘れるな。きみの協力に感謝するよ」

  • #2

    媚薬 (火曜日, 12 5月 2015 21:53)

    「おまえの――忘れられない男になってやる」