約8年前に鬱状態になって、単に気分が沈むという状況だけじゃなくて、何日も死にたいと妻に訴えて、命の危険があったので入院した。
それから、8年間2週に一度通院はしていたが、これは甘えによる仮病だろうと自分では思いながら過ごした。その間、調子が悪くて仕事を長期に休んだりはしたが、概ね生活に問題はなかったので、やっぱりこれは自己暗示によるものだろう、甘えさせてもらっているだけだと心の奥底で思いながらダラダラと医者に通い、抗鬱剤を飲み続けた。主薬はアナフラニールだったが、その他いろいろ混ぜては飲んだ。
レメロン、
セディール、
リーマス、
ジプレキサ、
サインバルタ
その時の状態に合わせて飲んだ。
去年の10月ぐらいからやけに体が軽くなって、毎晩酒を飲みに行ったり、週末も出かけたり、写真のワークショップに通うようになった。気分に波があって、やりたいことが思うようにできずにイライラしたり、大きなことを言って後で面倒なことになったり、女の子やら美少年と出歩いて乱暴な言動をしてものすごく嫌われたりしたが、すぐにケロリと忘れてまた夜の街に繰り出すという生活を繰り返した。
路上でホームレスに喧嘩を売ったりし、警察のお世話になりかけたりもした。
地下鉄や路上で見かける世の中の多くの女性が、やけに綺麗に見えた。
それを細々と約半年間ちょっと続けた。
やってる本人は概ねとても幸せな気分でいれた。(多くの友人知人を失ったり失いかけたりしたのだが。)
今年の6月の終わりには、家にいるとイライラして、幼い娘や妻に暴力などを振るったりしかねない状況になった。そもそも家になんていられないような心理状態になった。
医者と妻と相談し、家を出た。
その矢先に、ものすごい挫折感というか
自分はこのままでは全てを失う。
家族だけではない、好きな楽器やレコード、写真集も失う
よし、この世界にはお別れをしよう。
と思い、死のうと思っていたところを、おまわりさんに助けられ、入院する運びとなった。
入院生活はまた別のところで書くとして、退院した時は気分が軽かった。退院して一月ほどで仕事にも復帰できた。
よし、これで、長い通院生活ともおさらばしよう。と思い、このままなんでもなくなるもんだと思って2ヶ月を過ごした。
そうしていた矢先、仕事で失敗をした。
その頃から、本当の鬱状態に突入した。
一日中気が重い、いつも仕事の失敗のことを考える、何もする気が起きない。音楽など聴く気も起きない。誰とも話したくない。仕事から帰宅するとそのまま寝室に行く。
という状態になった。
仕事を長期で休んで復帰したばかりだったので仕事だけは休めないと思い這って出社した。
今はそれから一月ほど経ち、少しマシになってきた。
相変わらず一日中気が重く、何もする気が起きないが、夜遅くになると少し体力が回復し何もしないことに不満を感じるようになり、ここ三日ぐらいブログを書いている。
そんな状態で、音楽を聴く気力もほとんどない。
聴きたいのだが CDやレコードを選ぶ気力もあまり起きないし、聴きたいと思う音楽が見つからない。
しかし、夜になって、ちょっと気力が出てきたので、音楽を聴くことにした。
私の好きなトランペッターのトムハレルとピアニストのダドモローニ(でいいのかな?)のデュエットのアルバムである。
今の心理状況では騒がしい音楽が聴けない。聴いていると辛くなるのである。何が辛いって、わからない。わからないが、騒がしい音楽を聴くと疲れるのである。
その点、このアルバムはいい。
トムハレルは騒がしい音楽もやる人なのだが、ここでは静かでそれほど白熱しない。朴訥に、寡黙に音楽をダドモローニと紡ぎ上げている。まあ、これはピアノとラッパのデュエットだからうるさくなりようもないのかもしれんが、世の中には騒がしいデュエット盤も存在する。音楽そのものはそれほど騒がしくなくても、トランペットがハイノートをヒットしまくったり、ピアノがバカテクを披露したりと、そういうデュエットがある。
トムハレルとダドモローニはここではそういうことはしない。しないが、音楽が退屈になることはない。派手なクライマックスを持ってくるような音楽の盛り上げ方ではないが、メロディーやコード、モチーフを読み解き、展開するのである。その展開の仕方が、ダイナミック過ぎずいい。アルバムとしては地味だと感じる方もいるかもしれない。ジャズを好きな方はアグレッシブなアドリブで興奮する人もいるだろうから。二人の演奏にアグレッシブさというのがないわけではない。ただ、鬱で沈んでいる時でも聴けるて程度に収まっているのである。
もちろん、元気な時でも聴いたら、いいアルバムなんであろうけれども、疲れている時や、落ち込んでいる時でもなんとか聴ける数少ないジャズのアルバムなのだ。
ECMや ENJAなんかのアルバムでも聴いてりゃいいのかもしれないけれども、ECMなんかの静かなアルバムを聴くと、気分が暗くなって自殺に追い込まれるかもしれないと思い、今日はこのアルバムにした。
もし、鬱でジャズが聴きたいんだけれど、どうしても聴けない、という方がいらっしゃいましたら、オススメです。
あ、そもそもそんな人は私のブログなんてわざわざ読まないかもしれませんね。すみません。
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Ted Belfield (日曜日, 22 1月 2017 09:02)
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