相変わらず鬱である。
今日は休みなのに何もせずに寝ていた。家族サービスも無しである。まあ、そもそも娘が生まれてから2年が経とうとしているが家族サービスというようなことはほとんどしたことがない。何度か一緒に公園に連れて行ったり、月に1、2度家族三人で外出はしたが、果たしてそれがサービスだったかは怪しい。ただ自分が行きたかったところに行っただけかもしれない。
父親及び旦那失格の病気の親父である。
今日も、鬱の時に聴けるレコードを紹介しよう。
今日はギターである。
ギタリスト名義のレコードは、たいてい超絶技巧を振り回す悪どいレコードである。コーネルデュプリーとかDavid T Walkerとか、あんまり超絶技巧披露系ではないレコードもあるが、ことジャズ、フュージョンのレコードは超絶技巧披露系である。そもそも、ジャズやフュージョンのレコードの多くが超絶技巧や難解な進行の曲ばかり取り扱っているものが多い。だから私はジャズはジャズ自体をつまらんくしていると思うのだが。まあその話は置いておいて。
超絶技巧披露系のレコードは鬱の時に聴こうとは思わん。理由は簡単、疲れるからである。ギュインギュイン、パラパラパラ、ツルツルツルツル、こういうのが随所に出てくる音楽は聴いていて疲れる。
今日紹介するEddie Langは1920年代に活躍したギタリストである。ジャズギターの創始者の一人で、ルイアームストロング、ロニージョンソン、ベッシースミス、ビングクロスビーなんかとも共演レコードを出している、20年代のメインストリーム(そんなもんあったかどうかわからんが)のジャズミュージシャンである。
当時の最先端のギター、Lloyd Loarが開発したアーチトップジャズギター、Gibson L5を愛用したことで有名である。
今日紹介するJazz Guitar Virtuosoにはギターソロ、ピアノやギターとのデュオとかの曲が入っているのだが、このGibson L5のハリがあり力強い、それでいて少しこもったような、いかにもジャジーな音が充分に堪能できる。ハイレゾなんかじゃなくて、アナログでなくてCDでも充分に堪能できる。
一人でコード、ベース、メロディーラインを同時に弾けて、ピアノ曲をギターソロで弾けるエディーラングは、いわゆる超絶技巧系ギタリストに分類されるかもしれない。実際当時は超絶技巧ギタリストとして売っていただろうし、今聴いてもそのテクニックは相当なものだ。
しかし、彼のCDが鬱の時にでも聴くに耐えるのは、その技巧が音楽をふくよかにしているからだろう。技巧のための技巧ではない、音楽としての楽しさ、ふくよかさを表現するための技巧なのだ。実際彼は一つのテクニックに頼ることなく、いろいろなところで、その場に応じたテクニックを使っている。曲のテンポもいたずらに速くはしない。まさにその曲にぴったりのテンポで(フランクシナトラみたいだな)、その曲を豊かに演奏するのに応じたテクニックを用いる。
ああ、ジャズミュージシャンの鑑のような野郎だな、エディーラング。
そして、このレコードは、一曲目のPrelude(確かラフマニノフの曲だったと思うが)が程よく暗い曲調なので、鬱の時でも違和感なくスーッと入っていける。これ、案外重要なんです。一曲目がギンギンに明るいCDは聴きたくない。聴いた一曲目から疲れて、聴く気がしない。
けれども、暗いだけじゃなく、2曲目、3曲目とだんだん楽しくなってくる。うつ病、躁鬱病のためのCDなんじゃないかこれは。
ちなみに、このCDはコンピレーション盤なので、Eddie Langが気に入った方はYAZOOやらOkehから出ている他のレコードも聴いてみてください。鬱の時に聴くに耐えるレコードかどうかはわかりませんが。
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