ヒモ付きでも甘すぎないBobby HackettのThe Most Beautiful Horn In the World

ボビーハケットは所謂中間派に属するんでしょうか、どうなんでしょうか、わかりませんが、渋いディキシーの名盤を出してますが、まあ、モダンジャズが好きな方にはあんまり縁がないかもしれませんね。私も、友人に勧められて、10年ぐらいして買って聴いてみました。まず、あの Coast Concertを。

良かったです。コッテコテのディキシーではなくて、割と爽やかというか、暑苦しくない。Bobby Hackettのコルネットの音に痺れました。ビブラートを抑え気味にかけていて、モダンです。音色も、ダークで太くて、なんだかモダンです。

ああ、いいラッパだな、俺も吹くならこういう音で吹きたいな。と思いました。この音でオルタードフレーズなんて吹いてたら、ハードバップのトランペッターと見分けがつかないでしょう（絶対吹かないだろうけど）。

ああ、モダンジャズじゃなくてもカッコイイトランペッターっているんだな。と、今更ながら実感しました。

そのダークで太いトーンで吹くんですからヒモ付きが悪いはずがありません。スイングジャズやディキシースタイルのトランペッターがストリングスものをやるとやたらとビブラートがかかっていて、やたらと節回しが大げさだったりして、私は苦手なのですが、これは悪くないんです。

まあ、バラードばっかりなので、どうしてもムード音楽みたいにはなってしまうのですが、端整で、抑えられていて、ほどよく暗いムードで、レコード一枚通して聴けるのです。

私はクリフォードブラウンのWith Stringsとかもちょっと苦手で、もちろん演奏は素晴らしいし、サブトーン気味のトランペットの音色もカッコイイんだけれど、あんだけたくさんストリングスものを聞かされると、油ものいっぱい食べたみたいな気分になってしまう。あの、ストリングスをバックに歌いまくる、みたいな感じがクドくて苦手です。

しかし、ボビーハケットはこういうアルバム慣れているせいかわからんけれども、歌がクドくなる前に抑えてる。ストリングスのアレンジはもう、甘ったるいよくあるムード音楽みたいなんだけれども、ボビーハケットがクールなもんで、

ああ、よしよし

と思いながら聴けてしまう。

いや、まあ、でも、コンボでやっているのとかとは全然違いますよ。やっぱり甘ったるいとこありますから。

もし、聴いてみよう。と思われたら、一応

ヒモ付き

っていうことを忘れないでくださいね。