Willie Nelsonのギター"Trigger"について

70年代以降のアメリカのポピュラーミュージックシーンで最も偉大なシンガー及びソングライターの一人であるWillie Nelson(ウィリーネルソン)。

彼の愛用するMartinのナイロンストリングギターN-20(1969年製らしいです)は、史上最も酷使されているギターの一台に数えられるだろう。

 

"Trigger"と名付けられたその愛機の音色は70年代以降にリリースされたWillieのほとんどのレコードで聴くことが出来る。

特筆すべきは、そのクリアで柔らかい音色。ナイロンストリングギター特有の柔らかさを保ちつつも、立ち上がりの美しさは、さすがは老舗ギターブランドMartinである。Martinと言えばその主要モデルのほとんどはスティールストリングのギターであるが、ナイロンストリングのギターを作らせても、いいギターを作るんだなと感心してしまう。

 

"Trigger"に組み込まれたピックアップを通しての、エレアコとしてのこのギターの音色も、このギターの持つもう一つの顔を見せてくれる。

繊細なアコースティックサウンドに対し、図太く、バリバリとしたサウンドは唯一無二。

 

Willieはほぼ全てのステージでこのTriggerをメインのギターとして使用しており、彼のライブ映像を見ると必ずと言っていい程このギターを見ることが出来る。そのため、その酷使された痕も凄まじく、ボディーのトップのサウンドホールとブリッジの間には大きな穴があいてしまっている。そして、そのボディートップには彼と共演したミュージシャンのサイン等がびっしりと記されている。

"Trigger"の音色を堪能したいのであれば、1978年にリリースされた『Stardust』がお勧め(ベタかな)。アメリカンスタンダードを優しく美しく歌い上げる。

 

個人的には、Wynton Marsalisとの共演作『Two Men with the Blues』も泥臭さを残しながらも、都会の洗練されたジャズアルバムに仕上がっていて大好きです。