Chet BakerのTrumpet

Chet Baker・・・。

 

この世にトランぺッターは数多いるが、チェットベイカーという名前を思い出すと、他のトランぺッターのことなど、この際どうでもいいのではないかと思ってしまう。チェットこそジャズ史上最も輝きを放ったトランぺッターなのではないかとすら思えてしまう。(それは言いすぎか・・。)

 

シルクのようにソフトで滑らかな音色、歌を口ずさむようなメロディアスなアドリブソロ、本人はどう思っているのかはわからないが余興としか思えないお茶目で甘いボーカル。うん、やっぱりチェットベイカーほどかっこ良くジャズを扱える奴はいないだろうな。

 

ジャズが本当に好きな方や、そっち方面の音楽に詳しい方にご意見を伺ったら、おそらくチェットよりかっこいいトランぺッターは沢山いると仰るかもしれないが、私は断然チェットベイカーが素晴らしいと思う。

 

そんな話をしているときりがない。今日は、チェットの愛用したTrumpet(フリューゲルホルンも含む)について考えたい。

 

チェットはデビューしたての頃からMartin Committeeを愛用していたと思う。52年にチャーリーパーカーと共演していた頃からMartinを愛用していたと記憶している(私の手もとに資料がなくてはっきりとしたことは言えませんが)。もともと46年〜48年まで軍隊のバンドに居たそうだから、デビュー当時はConnとかを使っていたかもしれないが、50年代全般の写真でもChetはMartinを大事そうに吹いている。そもそもMiles Davisなんかに憧れてJazzミュージシャンになったのだろうから、その路線からはMartin Committeeという選択肢はうなずける。

 

そのままヨーロッパに渡って活動していたときもおそらくそのままMartinだろう。

 

64年にアメリカに戻ってからはしばらくフリューゲルホルンを使う。確かセルマーのフリューゲルだったと思う。『ベイカーズ・ホリデイ』の裏ジャケの写真で確認できる。そのままフリューゲルで「プレスティッジ5部作」を録音する。

 

その後、トランペットをまた手にしたのかどうなのかは定かではないが、60年代後半のマリアッチ・ブラスのときはトランペットを吹いているから借り物なのか、自分のなのかわからないが、トランペットを吹いていた。(この時代のチェットについて詳しい方いたら教えてください。

 

73年に復帰してからは、ConnのConnstellation 38Bをしばらく使っていたのだが、その後Buescher Aristocratに持ち替える。1978年のアルバムBroken Wingのジャケットの写真で持っているのがAristocratだから、このころには既にBuescherを使っていたのだろう。

 

このBuescherのアリストクラート、本来スチューデントモデルということもあり、チェットの愛用した楽器の中では最も安価で手に入れられる。もっとも、このクラスの楽器で状態がいいものを探すのは困難だが、ebayなんかでは数百ドルで売っている。バルブケージングの中間部分がほっそりしていてなかなかステキなトランペットだ。Aristocratは年代ごとにマイナーチェンジを重ねられているのだが、チェットが愛用したのは70年代に製造されていたモデル。

 

その後、チェットはこのAristocratを日本のトランペットプレーヤーのヒロ川島氏へプレゼントし、本人はSelmerから贈られたBachのStradivariusに持ち替える。(しばらくの間Getzen Capri、Bessonのフリューゲルなんかも使っていたようです)下の画像ではBachのストラッドをプレイするチェットを見ることが出来る。

チェットの愛用するトランペットは上記のような遍歴を経ているが、彼のサウンドはほとんど変ることがない。入れ歯になってからは少しソフトで透明感のあるサウンドになったような気もするが、録音技術の進歩のせいか、気のせいかもしれない。

 

だから皆さん、BachのStradivariusでも、ヤマハのトランペットでもきっとチェットのサウンドは出せるのですよ!!

 

でも、チェットファンの私としては、Connstellationか、Aristocratあたりを手にしてチェットを気取ってみたいと思うのですが。

 

ちなみに、マウスピースはずーっとBachの6Bだそうです。

 

 

チェットのサウンドを堪能したければお勧めはCTIからの一枚。『She was too good to me』。彼の復帰第一弾です!!

大人になったからこそ、こういうCTIとかのアルバムを胸を張って薦められるのです。いいアルバムですよ。